二世帯住宅による親子の共有持分売却の方法

公開日:2021/08/15  最終更新日:2021/09/06


親子で二世帯住宅を建築する方は増加しています。子ども世帯から見れば建築資金援助などを期待でき、親世帯からすれば老後の生活も安心できるなど、双方にメリットがあるためでしょう。そのため、親子で同居して生活するスタイルに注目が集まっています。ところが実際に生活してみると、どちらかの世帯が退去することもあるようです。

二世帯住宅で生活してみたものの親子間関係が不和に

二世帯住宅とは、年代が異なる構成員からなる家族が、同じ屋根の下で生活を送るスタイルです。配偶者の親世帯と同居することは、トラブルに発展しやすい傾向があります。そのような事情を背景にして核家族化が進行したのですが、近年では別の事情で再び二世帯住宅を選定するケースが増えているようです。

とくに新築の一戸建て住宅の建築するにあたっては、予算規模に余裕ができる、ゆったりした間取りを実現できるなどの、メリット面を意識したことが背景にあるといわれています。しかし、義理の両親と同じ家で生活するには、家族関係の不和を招きかねないリスクがあるといえるでしょう。

そのため出入口を別に作る、キッチンなどを分けるなどの工夫をして、できる限り接触を回避して独立した生活を送るなどの対策がとられてきました。このような状態でマイホームを建築しても、生活をはじめるとライフスタイルの違いや、接触する機会が増えることによる軋轢などに直面することは避けることが難しいでしょう。

トラブルの典型的な例としては、生活リズムがずれることで、同居の継続に支障を感じるというものが考えられます。しかし二世帯での生活を解消するとなると、自分の共有持分をどのように処分するべきなのかは、大きな問題になるのは避けられません。

共有持分売却は共有物分割請求が現実的

二世帯住宅で生活を開始したものの、関係が不和になりどちらかの世帯が退去せざるを得ないことも想定できるでしょう。退去した側の世帯にとっては、自分たちが住めなくなった家のローンだけを抱えるという不合理な結果になってしまいます。残ることになった世帯に買い取ってもらう、すべての共有持分売却することで第三者に売却するなどの選択肢が考えられそうです。

しかし、このような取引は相手世帯との関係がフラットであることが前提でしょう。仲違いの結果、やむなく退去せざるを得ないような状況で、今後の財産関係を清算するための話し合いの場をもつことは難しいというのが実際のところではないでしょうか。

このような二世帯住宅の共有関係を解消する方法として、共有物分割による共有持分売却が挙げられます。共有物分割請求とは、共有状態の解消を求める人がいる場合に、強制的に共有状態を解消させるという制度のことです。具体的には、他の共有者に共有持分売却する、あるいは不動産全体を売却する、競売にかけるなどのいずれかの選択肢を採用することになります。

ただし二世帯住宅は比較的不動産の規模が大きく、他の共用者に買い取ってもらうことも困難です。二世帯住宅は価格が高額になりがちで、買主が相応の収入を得ていないと売却を実現するのが難しいという問題があります。仮に親世帯が買い取るという場合、年金収入で金額を確保できるかは大きな問題でしょう。

二世帯住宅で共有持分売却のための共有物分割請求の進め方

共有物分割請求で二世帯住宅の共有状況を解消する方法としては、不動産を物理的に2つに分ける方法、共有者の1人が持分を取得し他方が持分相当額の金銭を支払う方法、不動産全体を共有持分売却し売買代金を共有持分に応じて分配する方法があります。

不動産を物理的に2つに分ける方法は、実現が困難な側面から、ほとんど利用されていないようです。戸建て住宅の底地を分筆するにしても、狭くなってしまうと建蔽率の制限に抵触することが多く、建築基準法違反の状態になってしまいます。

しかし、裁判所に競売を申し立てるとなると、持ち家を第三者に売却することになるので、双方の世帯が持ち家を失うという事態になるでしょう。現実的な選択肢は、残る世帯が退去する世帯の共有持分を取得し、退去する世帯がその代価を受け取るという方法です。

この方法を代償分割と呼びます。代償分割の重要な点は、金額をどのように決めるかにあるでしょう。この場合は、当事者の話し合いで決めるのが原則です。決まらない場合は、裁判所が選任する不動産鑑定士の鑑定評価によって決めることになります。

ただし、共有物分割請求は最初に当事者同士で話し合いの場をもつことが必須です。折り合いが悪ければ最終的に裁判に持ち込むことになりますが、話し合いの場をもっていないと相手方からその旨を裁判の場で主張される恐れがあるでしょう。話し合いの方法は、必ずしも対面する必要はなく、電話や電子メールなどでも構いません。

 

建築資金の援助を受けることができる、ゆったりした間取りが実現するなどから二世帯住宅が増加しています。しかし入居してみると親子関係が悪化して一方の世帯が退去することもありえます。このときには共有物分割請求による共有持分売却を通じて、共有状態を解消することが必要です。

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