親子共有名義の不動産。親が認知症になったり死亡したりした場合は?

公開日:2022/05/15  最終更新日:2022/05/18

疑問

多くのメリットを期待して不動産を親子共有名義にしても、契約時には予想もできなかった事態に悩まされることがあります。それが親の病気や死亡です。共同名義にした不動産の所在が曖昧になり、今後どのように扱ってよいのか判断できない方もいらっしゃるでしょう。事前に知っておくと便利な、親子共有名義の不動産に関する対策をご紹介します。

認知症が心配な場合は早めに子どもに贈与する

将来自分が認知症になるかどうかは、誰にもわかりません。もし親子共有名義の不動産があるなら、親が認知症になる可能性を考えて子どもに不動産を贈与しておくのもひとつの手段です。

贈与とは財産をあげること

自分が持っている財産を、誰かにあげることを贈与といいます。単にプレゼントするような感覚ではなく、受け取る側の「もらう」という意思表示も必要です。

贈与の金額によっては税金が発生する

自分の財産を誰かに与えること自体にお金はかかりません。しかし贈与の金額によっては、贈与税が発生します。国税庁によると1年間で110万円以下の贈与であれば、贈与税は発生しないとしています。不動産の金額が110万円以下になることは考えづらいため、通常の贈与だと受け取る側に贈与税が発生すると考えてよいでしょう。

生前の贈与なら相続時精算課税制度の利用がおすすめ

贈与する不動産の金額が2500万円以下であれば、相続時精算課税制度を利用するという選択肢もあります。贈与税が発生する金額を2500万円まで引き上げられるというものです。

ただし親が亡くなった後に不動産以外にも相続するものがあって、贈与した不動産との合計金額が2500万円以上になってしまうと、今度は相続税の対象となります。

いずれにしろ税金を払わなければならなくなるので、贈与する不動産の金額がいくらなのかということはしっかり確認しておかなければなりません。

親がすでに認知症を発症している場合は「成年後見制度」を利用する

親が認知症を発症してしまった場合、病気の進行状況にもよりますが、親子共有の不動産に関する正常な判断能を有していない可能性が高いです。その場合は成年後見制度を利用して、共有不動産の今後について検討しましょう。

自分以外の人に判断を任せる

認知症だけでなく加齢や精神疾患など、自らの能力で身の回りのことを正確に判断できない方は数多くいます。成年後見制度は主に法的な契約などに関して、別の人に代理で判断してもらうというシステムです。

任意後見制度では自分が後見人を選ぶ

認知症になった場合に共有名義の不動産について判断できるように、あらかじめ成年後見人を自分で選んでおくことができます。任意後見制度といって、認知症の発症など判断力が低下してしまったタイミングが来たときに効力を発揮します。

たとえば自分の知人を任意後見人に指名して契約書を交わし、自分の認知能力が低下した場合に判断して欲しい事項などを事前に決めておくのです。ただ任意後見人が勝手な判断をしてしまわないよう、家庭裁判所で任意後見人の監督者を選定する必要があります。

認知症になってしまった後は法廷後後見制度を利用する

事前に自分で後見人を選定できなくても問題ありません。生まれつきの障害などにより自己判断能力に不安を抱える人は数多くいます。自分で判断できない状態で成年後見制度を利用するなら、法廷後後見制度によってサポートを受けるのがよいでしょう。

家庭裁判所が成年後見人を選定してくれる制度です。自分が必要とするサポート内容によって、補佐・保佐・後見の3種類があり、それぞれ法的に行える事柄も異なります。

親が亡くなった場合は配偶者と子ども全員が相続する

認知症など共有名義の親が病気の場合は、国が提供するさまざまなシステムを利用することで不動産を適切に取り扱うことができます。では親がなくなってしまった場合は一体どうなるのでしょうか。

共有名義以外の配偶者や子どもにも相続権利がある

親と子どもで共有名義にしている場合、親が亡くなれば必然的に共有名義にしている子どもが不動産を相続すると思われがちです。しかし実際には、相続人として一番に権利を有するのは配偶者です。

さらに配偶者以下の相続順位も法律で定められていて、配偶者の次は子どもが相続人第一順位となります。つまり父親か母親のどちらかがなくなった場合、親子共有名義の不動産は配偶者と子ども全員が相続権を獲得することになります。

共有名義となっていたのが子ども一人だとしても、まったく契約を交わしていない別の子どもにも相続権利が与えられるという仕組みです。

相続人の相続割合は決められている

親子共有名義の不動産が配偶者や子どもに相続される場合、それぞれ相続される割合が決められています。配偶者は全体の1/2、子どもは何人いても残り1/2を全員で分配します。

 

親子共有名義の不動産がある場合、親の認知症や死亡といったでき事によって不動産の取り扱いが複雑になります。税金を考慮しながらあらかじめ子どもに贈与しておいたり、認知症になったときのために成年後見制度の準備をしておくことで対策が可能です。親が亡くなってしまった場合、配偶者や共有名義以外の子どもにも相続の権利があります。不動産を親子共有名義にするか検討中の方は、将来に起こりうるさまざまなことを想定して契約を進めましょう。

 

おすすめ関連記事