不動産の共有者が認知症になってしまった!共有持分売却の方法とは?

公開日:2022/07/15  最終更新日:2022/07/05


ご自身の所有している不動産は、誰かと共有名義のものではありませんか。最近では住宅ローン控除の面など、メリットを期待して多くの方が共有名義で不動産を所有しています。しかしいざ売却したいと思った時に、共有者が認知症になっていたら困りますよね。共有者の判断能力に不安がある場合の、共有持分を売却する方法についてご紹介します。

共有者が認知症になっても「成年後見制度」で不動産を売却できる

人生は予測がつかないことの連続です。不動産を共有していた親や配偶者が、ある日認知症を発症することもあります。認知症は個人によって進行の程度に差がありますが、発症すればやがて正常な判断をすることが難しくなってしまう病気です。共有者がいる不動産を売却したいと考えていた時に、相手が認知症になってしまったら必要な話し合いを行うことは難しいでしょう。

では不動産の売却を諦めなければならないのか、と悩んでいる方に知ってほしいのが成年後見制度です。成年後見制度の中身をよく理解して適切に利用すれば、共有者がいる不動産の売却も可能となります。今後共有名義で不動産を所有する予定があり、将来的に売却することも視野に入れている方もしっかり知識として身につけておきましょう。

成年後見制度(法定後見人制度)とは

不動産の共有者が認知症になっても不動産売却が可能になる、成年後見制度について詳しく確認していきます。

■自分の判断を手助けしてくれる制度

成年後見制度は民法によって定められた制度で、物事を自分一人で判断する能力が欠けている人をサポートしてくれます。認知症を始め、知的・精神的な面で判断力に不安があるという場合が対象です。

■法定後見制度なら認知症になっていても安心

成年後見制度には2種類あります。認知症を例にして説明すると、認知症になる前に準備をしておくのが任意後見制度、認知症になった後に導入するのが法定後見制度です。今回のテーマは共有者が認知症になっている状態ですので、法定後見制度を利用することになります。法定後見制度では、成年後見人を家庭裁判所が選定します。選定された人物は認知症の本人に代わって、さまざまな契約事項の同意や解消を行うことができるのです。

■法定後見制度の成年後見人は3種類

自分の判断能力に不安があるといっても、全面的に一人で判断ができない方もいれば、一部判断できないことがある方などさまざまです。法定後見制度では個々が必要とするサポートの段階に合わせて、成年後見人が支援する範囲が異なります。

補助類型・保佐類型・後見類型の3種類があり、代理でできることに違いがあるのです。たとえば認知症がかなり進行している方や、重度の知的障害を抱えている方などは法的な契約の決断を一人で行うことが困難な状態といえるでしょう。その場合は後見類型に分類され、成年後見人が一部例外を除いてすべての法律行ために関して代理で行うことができます。

成年後見制度を使った不動産売却の流れ

実際に成年後見制度(法定後見制度)を使って不動産売却をするには、どういった手続きが必要なのか解説していきます。

■居住用不動産の売却や処分は成年後見人だけでは判断できない

共有者が認知症になって困っていたけれど、成年後見制度を導入できたので問題なく売却できると安心していませんか。実は共有者の成年後見人が選定されても、不動産の売却には壁があります。売却したい不動産が居住用の場合は、成年後見人が同意しても家庭裁判所の許可がなければ売却できません。

■不動産の種類が居住用か否かを確認しておく

居住用の不動産は今住んでいるかどうかという点以外に、今後住むかもしれない不動産も含まれます。居住用不動産に該当するかどうかの詳細な基準は他にもありますので、売却したい不動産の種類を事前に確認しておきましょう。

■居住用不動産の売却は成年後見人が家庭裁判所に申し立てをする

売却したい不動産が居住用不動産なら、成年後見人が家庭裁判所に申し立てを行って売却の許可をもらいます。

■居住しない不動産の売却は家庭裁判所を通さない

売却したい不動産が居住用ではない場合、家庭裁判所の許可なく成年後見人が売却を決定できます。しかし成年後見監督人が選定されている場合、監督人も売却することに同意していなければなりません。

■売却したい理由は何か

なぜ共有不動産を売却したいのかという理由は、居住用・非居住用のどちらにおいても重要です。過去には居住用不動産の売却を申し立てた結果、家庭裁判所から許可が下りなかったというケースもありました。たとえば共有者が自分の親で認知症のため介護にお金が必要となり、共有不動産を売却して費用にあてたいといった理由だとします。しかし預金が充分にある場合などは、わざわざ居住用不動産を売却するほどではないと判断されることもあるのです。

また今は不動産に居住していなくても、将来的に共有者が戻ってくる可能性が高い場合なども許可がおりない可能性があります。成年後見制度の導入や裁判所への書類提出は時間と労力が必要で、売却の理由によってはすべての努力が無駄になることも考えられます。売却するだけの正当な理由があるか、よく考えてから手続きに進むのがよいでしょう。

 

不動産の共有者が認知症になった場合でも、成年後見制度を利用すれば不動産の売却が可能です。家庭裁判所によって選定された成年後見人が、制度利用者の状態に応じたサポートを行います。共有持分の不動産売却に関しても、共有者ではなく成年後見人と相談していくことになります。不動産が居住用か非居住用か、また売却の目的によって共有不動産の売却が困難になることもあるので注意が必要です。

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