共有してからでも遅くない!家族信託について話し合っておこう

公開日:2020/06/15  最終更新日:2020/06/17

老後の生活や介護などに必要な資金の管理や給付を行うために、不動産や預貯金を信頼できる家族に託すのが家族信託です。家族が財産を管理してくれるので、安心して任せることができます。財産の管理を任せるのは家族や親族なので高額な報酬が発生することがなく、誰でも気軽に制度を利用できます。

家族信託ならば柔軟に財産の管理や承継ができます

家族信託では一般的な信託の仕組みを利用して家族に財産を管理させたり承継させます。平成19年に施行された改正信託法によって定められた制度で、高齢者の財産管理や遺産の承継に利用できるため注目を集めています。後見制度や遺言制度などとともに信託制度を活用すれば、より被相続人の希望に従った形で財産の管理や承継ができます。

一般的な信託制度を活用した事例には信託銀行が行う年金信託や投資信託などがあります。信託業法では免許・登録を受けた信託銀行や信託会社だけが受託者になることができるとしています。しかしこれらの銀行や会社は基本的に個人の自宅を信託財産として受託することはないため、高齢者の財産管理などの需要に対応できないケースが多く見られました。

家族信託では信頼できる家族や親戚が受託者となり財産の管理を行います。この制度は委託者と受託者、受益者の3者によって構成されます。委託者は受託者と契約を締結し、財産の所有権を移転します。受託者は財産の管理・処分を行い受益者が監査を行います。

日本は少子高齢化が続いており、相続対策だけでなく認知症など高齢者の病気にも備える必要があります。今後も認知症や脳梗塞などで判断能力が低下した高齢者が増えると予想されており、スムーズに相続の手続きを行うための制度が求められています。

一方で任意後継制度は裁判所の監督下に置かれるため現実的に運用しにくいという問題がありました。信頼できる家族や親族による柔軟な財産の管理・承継ができる家族信託が注目されています。

共有持分売却も任せることができます

不動産の共有者が家族信託を行う場合、任された家族や親族が共有持分売却などによって資産を管理することになります。共有不動産全体を売却するには他の共有者全員の同意が必要とされますが、共有持分売却であれば単独で行うことができます

財産の管理を任された人物が共有持分売却を行う必要があると判断した場合には、第三者に譲渡されることになります。共有不動産は一般的な不動産と異なり利用が制限されるため買い手を探すのが困難です。処分する場合には他の共有者に持分を買い取ってもらうか、専門業者に相談するケースが多く見られます。

共有持分売却が必要な場合でも、権利者自身が高齢で手続きを行うことが困難な場合もあります。家族信託ならば本人が自ら手続きを行うことが難しい場合でも、信頼できる人物がスムーズに手続きを行ってくれます

信託契約の条項に不動産の売買が含まれている場合、受託者を売主として信託された不動産を売却できます。受託者が売主となって買主と直接的に取引を行うことになります。売主が受託者となるだけなので、一般的な不動産の売買と基本的に変わることはありません。

信託された不動産の売却益は、契約に別段の定めがなければ信託財産に組み込まれて受益者のものとなります。譲渡所得税の納税義務があるのは信託法上の所有者である受託者ではなく、信託不動産から利益を享受する受益者です。

家族信託では様々な方法で財産を管理できます

家族信託で共有持分売却を任せるためには、信託契約の条項に持分の売買が含まれている必要があります。条項に含まれていないと受託者に権限がないので、共有持分売却ができなくなってしまいます。共有不動産の持分売却が必要になると考えるのであれば、必ず信託契約の条項に持分の売買を入れるようにしてください。

一旦信託契約をしたものの状況や気持ちが変化する場合もあります。信託契約で定めた合意などがあれば、後から家族信託契約書の条項を変更することも可能です。また当事者の合意解除によって一旦信託を終了させることもできます。

合意解除した場合には、本人が自分の意思で共有持分売却を行うことになります。いずれの場合も本人の売却意思が確認できることが条件とされます。既に認知症などで意思能力がない場合は、信託終了事由が発生するまで売買ができないので注意が必要です。

信託を解除した場合は、現物の不動産に戻るため一般的な方法で売買を行うことになります。 家族信託では相続対策や分割対策などのため、現物の不動産ではなく信託された受益権を子供などに売却するケースも見られます。家族や親族だけでなく第三者への売却も可能です。

受益権を売却した場合は受益者が譲渡所得税の納税義務を負います。家族信託の仕組みを利用すれば、共有持分売却や受益権の売却など様々な方法で財産を管理できます。

 

家族信託は信頼できる家族や親族に財産を管理・承継させるための方法です。裁判所ではなく家族や親族に管理を任せるので柔軟な対応ができます

信託契約の条項に持分の売買が含まれる場合、受託者に共有持分売却を任せることも可能です。後見制度や遺言制度などとともに家族信託を活用すれば、より本人の意思に沿う形で財産の管理や承継ができるようになります。

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