共有持分権者が単独でできること・できないこととは?基本を押さえよう

公開日:2020/05/15  最終更新日:2020/05/21

土地や建物などは単独所有が一般的ですが、二人以上が主体になって持ち合っている場合があります。複数の人や法人が持分の形で共同所有しているのを共有といいます。単独所有であれば処分まで含めてすべてを判断できますが、共有状態では相互の利益が絡み合うので、単独でできることと、できないことがあります。

共有者が単独でできることは共有持分売却

不動産を共有している場合、それぞれは共有持分権を取得していることになります。各自の共有持分権は経済的価値があり法律上も単独処分することが認められています。

そのため他の共有者の同意を得ることなく、それぞれ各自の判断で共有持分売却するのは単独で出来ることの代表的な行為です。もっとも共有持分売却は第三者との間で不動産を共有することになる、共有持分のみを購入してもできることには限界があるので市場価格の相場に比べると安い価格で取引される傾向があります。

また持分割合の多寡にかかわらず、共有物件の用途にしたがって利用することも出来ます。仮に10分の1の持分を有しているに過ぎない場合でも共有物全体を利用することが可能で、持分割合が高い共有者から利用制限を受けることはありません。もっとも賃貸物件などでは持分割合に応じて賃料を負担するなどが一般的なので、なんらかの話し合いで特約を結ぶことが多いようです。

そして共有持分権者が単独でできることでは、保存行為が重要です。保存行為とは共有物の原状を維持する行為全般を指します。

具体的には住宅設備などの原状を大きく変更しない範囲での修繕やリフォームなどを挙げることができます。例えば雨漏り修理や破損した水回り設備の補修などです。

また不法占有者に対する明けわたし請求など、円滑な権利行使を妨害する事実上法律上の排除請求なども保存行為に含まれると解されています。

過半数以上の同意でできることとは

共有持分権者が単独でできることの代表格は、共有持分売却です。共有状態を解消するにしても、投下資本を回収する方法は用意されていてしかるべきだからです。しかし共有物件では用途に従った使用をする前提として、相互の権利利益を損なわないように持分割合に従って行動が制限されることを甘受する必要があります。

そこで民法では管理行為に該当する行為については共有持分の過半数以上の同意が必要と規定されています。つまり共有持分の過半数の同意がないかぎり、できないないことがあると言うわけです。

例えばABCの3人がいるとして、Aが5分の4の共有持分を保有している事例では、BC二名が同意してもAの同意がないかぎり管理行為をすることはできない、と言うことになります。

ところで管理行為の代表的なものには、短期間の賃貸物件としての利用や大規模なリフォームやリノベーションなどを上げることができます。短期間の賃貸物件の利用とは、具体的には土地で5年以内・建物で3年以内の契約期間の場合です。ポイントは借地借家法の適用を受けないことです。

借地借家法の適用を受けるような長期の賃貸借は、売買と同様の「処分」に該当することになります。 資産価値を高める為のリフォームやリノベーションは、単なる修繕の範囲を超えた費用が必要で、共有持分権の過半数の同意を得てしかるべきと考えることができるからです。

共有者が全員でないとはできないこととは

共有物件の不動産を処分する方法には、共有持分売却と不動産そのものをすべての売却の2種類が用意されています。共有持分売却は投下資本回収の途を確保する必要があるので、単独でできることとされています。

しかし不動産全体を売却するなどの「処分」する場面になると話は別です。共有持分権者単独の意向はもちろん、ひとりたりとも反対の意思をもっているときは多数決の意向で売却を認めるのは妥当ではないからです。そこで共有物件全体を売却するときには、全員の同意が必要とされています。

このように共有持分権者への影響が大きいと想定される「処分」については、共有者全員が同意しないとできないこととされているのです。従って売却にかぎらず、共有者への影響が大きいと評価できる取引や事実行為は全員の同意が必要とされています。

具体的には借地借家法の適用をうけるような、長期の賃貸借です。借地借家法の適用をうけると土地の利活用が長期間制限を受けることになり、場合によっては退去時に立ち退き金が発生することもあるので、共有者全員の同意が必要とされています。

また建物であれば解体工事が代表的です。仮に相続を契機にして崩壊寸前の空き家を得ることになっても、他の相続人の同意がない限り勝手に解体工事をすることはできません。解体工事は不動産そのものの消滅事由であって共有者全員の同意を得て権利利益を保護する必要性が高いからです。

 

共有状態の不動産は、各人が共有持分権をもっています。共有持分売却は単独でできることの代表的な行為です。しかし共有の性質に照らして単独でできることだけでなく、単独ではできない管理や処分行為もあります。

共有不動産の利用にあたっては、単独でできるか否かを的確に見極めないと、深刻なトラブルに発展する可能性があります。

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