共有持分売却や処分は権利者全員の同意が必要となる

公開日:2021/06/15  最終更新日:2021/04/05


相続が発生したり、受け継いできた共有地などの不動産を保有したりしていると、単独で所有権者となっている場合とは異なり、さまざまな制限があります。共有者とはいえ所有者の1人であるので、通常の用法に従って利用することは可能です。しかし、処分や大規模修繕などの事態に直面すると、他の共有者の意思を無視することはできなくなるのです。

共有している不動産は煩雑な手間がかかるという事実

土地や建物などの不動産を共有することになるのは、相続を機に共有持分を持ち合うなど、さまざまな人が経験する可能性がある状況でしょう。持分2分の1を2人で共有することもあるようです。この場合、共有者は半分の不動産だけを利用できるという訳ではなく、全体を利用することはできます。

仮に第三者が、勝手に土地の使用を開始するなどの事態に直面すれば、単独で妨害排除請求をすることは可能で、他の共有者の同意を得る必要はありません。ところが不動産全体について、第三者と賃貸借契約を締結するような状況になると、1人の共有者の意思だけで決断することは認められないでしょう。

土地や建物を賃貸借するような事態では、使用収益が制限されることになるためです。このような管理行為については、共有持分の過半数を有する者の同意が必要となります。さらに不動産全体の共有持分売却で処分するシチュエーションでは、共有者全員の同意が必須なのです。

売買などは所有権を喪失することになり、第三者の所有物になれば利用も収益をあげることもできなくなります。そのため処分に該当する取引や、不動産全体を対象にした共有持分売却を行うときには、すべての共有者が同意しなければならないと民法上規定されているのです。

自分の持分だけを共有持分売却することもできるもの

土地や建物を単独所有している場合、自分1人の判断で売買などの処分をすることは可能です。ただし、住宅ローンなどの抵当権が設定されていると、金融機関の意向を無視して売却するのは困難でしょう。抵当権付では事実上買い手は付きませんが、法律上は第三者に売買するなど、処分することは可能です。

しかし共有物件では、全員の同意があって初めて不動産全体を処分できます。逆にいえば誰か1人でも反対の意向を表明すれば、全体の共有持分を売却するという選択自体が法律上不可能になるのです。しかし、これでは共有持分を換価できなくなります。

なかにはどうしても現金を捻出するために、自分が所有している分だけでも共有持分売却したいと考える方もいるかもしれません。共有者の1人だけが共有持分売却すること事態は可能です。たとえば相続したものの、相続人である共有者間で折り合いが悪くなり早急に現金化したいときは、自分の持分だけを共有持分売却することはできます。

しかし、結果的には他人間同士で不動産を共有することになり、不動産利用に関してトラブルになるリスクは高くなるでしょう。したがって、単独で共有持分売却に出しても、相場よりも安い価格で交渉、購入されることになるのです。

不動産全体を売却するには、全員の同意が必要

夫婦関係や相続人間では、土地や建物などの不動産を共有することはありえます。共有者間の人間関係が良好であれば、不都合が意識されることは少ないかもしれません。ところが遺産分割をめぐって対立する、夫婦関係が破綻して離婚するなどのシチュエーションに直面すると、処分に際してトラブルが起こることが想定されます。

不動産全体を共有持分売却で処分するときは、共有者全員の同意が必要になるためです。具体的には売買契約の当事者の地位になるので、契約書への記名押印、所有権移転登記にあたって書類に実印押印などが共有者全員に求められます。

全員が同意したのであれば不動産全体を共有持分売却し、持分割合にしたがって売買代金を分配すれば、自分の持分に見合った代金を得られるのです。ところが買い手がつかないような状況ではどうでしょうか。

共有者間のいさかいが深刻化したうえに、購入希望者も現れなかった場合です。このようなときは、共有物分割請求という手続きを裁判所に申し出ることができます。他の共有者に持分を買い取ってもらって、代金を受け取る変わりに共有関係から離脱する、裁判所で競売にかけてもらい代金を分配して処分するという選択肢です。

 

土地や建物などを共有していても、普通に利用することは可能です。しかし、重大な内装の変更や第三者に全体を共有持分売却するなど処分するときには、全員の同意を得ることが法律上要求されています。単独で共有持分売却しても相場より安くなる傾向にあるので、全体を対象に共有持分売却するのが現実的でしょう。

購入希望者が現れない場合は、共有権利者に自分の持ち分を買い取ってもらい、現金化するという手段もあります。すぐに現金が必要、共有関係から離脱したいなどの場合は検討してみるとよいでしょう。

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